【感想】原田マハ「あなたは、誰かの大切な人」疲れた心にとにかく響く。あなたも誰かの大切な存在




こんばんは。朝木です。原田マハ先生の

「あなたは、誰かの大切な人」

読了いたしました。

あらすじ

勤務先の美術館に宅配便が届く。差出人はひと月前、孤独の内に他界した父。つまらない人間と妻には疎まれても、娘の進路を密かに理解していた父の最後のメッセージとは・・・・・(「無用の人」)。歳を重ねて寂しさと不安を感じる独身女性が、かけがえのない人の存在に気が付いた時の温かい気持ちを描く珠玉の六編。

裏表紙より抜粋

感想

最後の伝言

母である前に女である。ナンパ師だった父をそばに置いておくため、面倒をみると結婚を迫った母。そんな父の目に女として映るように日々努力を絶やさなかった母。不甲斐ない男とそんな男を好きになってしまった一人の女性の恋愛に胸を熱くしてしまいました。一言で言ってしまうと、救いようのないダメンズですよ。でもそんな男でもこの世で一番愛した女の人は母だったのでしょう。最後の葬儀のシーンで充分すぎるほど伝わってきました。歪ではありましたが、愛には色々な形があると感じました。

月夜のアボカド

人生において本当に大切なことって何だろうか。その根幹部分を優しく教えてくれた物語でした。仕事で成功すること?お金持ちになること?それは人それぞれです。本編では一番大切なのは大好きな人と一緒に食卓を囲み、温かいご飯を食べること。そう描かれていました。それは両親でも友達でも恋人でも誰でもかまいません。友情に恋愛に仕事と人生を彩るスパイスは人それぞれなのです。どんな決断であっても大切な人の背中は押してやりたいものです。

無用の人

言葉でなくともメッセージは伝えることができる。つまらない人間と妻には疎まれても娘の進路を理解しており、親子とはどこかで似るものであったり子は親の背中を追いかけたりするものなのでしょうか。とても温かくて心地の良い物語でした。かげがえのない人の存在に気がついた時、その物語に触れた時、自然と目頭が熱くなり涙が溢れてきます。失ってから気がつくのですから、本当に人って救いようがないですね。常日頃から小さな幸せを噛み締めて生きていきたいものです。

緑陰のマナ

不思議な縁である。人と人との繋がりがどれだけ大切であるか。生きていれば誰にも想像できないような未来が待っている。人の不思議な縁と未来の可能性を教えてくれた物語でした。母の料理がその味が、切れかかった家族の絆を結び直してくれました。料理に一番必要なスパイスは愛情であると、その愛情が味となり人の舌に記憶に刻まれる。変わらずに迎えてくれる場所があって人がいる。辛いときはそれが何よりも救いになるのでしょうね。

波打ち際のふたり

いくつ年を取っても変わらない友情。ハグとナガラの旅行記はマハさんの作品の一つの楽しみですね。お互いがお互いを必要としていて助け合える。温泉のシーンで「いま、ここにいるのは女性ばかり。それぞれに、どんな人生を送ってきたのだろう。」ここにマハさんの一つのメッセージが込められています。楽しいことばかりではない、辛いことの方が多い人生だったかもしれない。しかし同じ時間に同じ場所へ訪れて、同じ景色を見ている。不思議な縁であると。そして病気の母と娘との絆。高齢化社会に対する家族の在り方を教えてくれました。

皿の上の孤独

自由な人生でした。仕事も恋愛も自分の好きなようにしてきた。そこには孤独であったり苦労がつきものである。それらを心から繋がり支え合える人がいる。どのような形でもいい、刹那的でもいい。現状のありのままの自分の受け皿となってくれる存在が大切なのだと。そして受け皿となってくれた人は、きっと「あなたの大切な人」なのでしょう。

最後に

風景描写が鮮明であり、登場人物の気持ちや風景を想像しながら読むのが非常に愉快でした。当たり前であり、忘れかけている大切なことを読者に気づかせてくれます。こういった作品と出会うことは、人生においてとても重要なことなのではないかと私は思います。自分の日々を見つめ直す良いきっかけになります。

本書では、独身女性の人生を通して「人との繋がり」に重点を置いて物語が進行します。読み終えたとき、タイトルの意味がじんわりと伝わってきて、人生捨てたものじゃないなと思えるはず。きっと誰もが誰かに大切に思われている。そしてあなたも大切な人の大切な人であるということ。人生に行き詰った時、手に取ってみてください。




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