【感想】原田マハ「カフーを待ちわびて」沖縄の空気を感じるちょっぴり切ない物語




こんばんは。朝木です。今回は引き続き原田マハ先生の

「カフーを待ちわびて」

読了いたしました。

あらすじ

もし絵馬の言葉が本当なら、私をあなたのお嫁さんにしてください。きっかけは絵馬に書いた願い事だった。「嫁に来ないか。」と書いた明青のもとに、神様が本当に花嫁をつれてきたのだ。沖縄の小さな島でくりひろげられる、やさしくて、あたたかくて、ちょっぴりせつない恋の話。選考委員から「自然とやさしい気持ちになれる作品」と称賛された第1回『日本ラブストーリー大賞』大賞受賞作品。

裏表紙より抜粋

感想

小学生だった頃から青春してんだなあ。友情に恋愛に冒険と、素直な気持ちで本書に向かうことができました。それもこれも素敵な風景描写があったからでしょう。不思議な縁と南の島の綺麗な風景や匂い。そしてそこにしかない日常。これほどまでに自分の好きが合わさった作品に出会うのは久しぶりでした。

集落でのリゾート開発事業も様々な思いが錯綜しますよね。今までと変わらない風景はもちろん大切です。しかし財政難で集落自体が存続の危機に面しているのも現実問題です。思いだけではどうすることもできない部分に人の無力さというのを感じてしまいました。集落のことを思う気持ちは誰もが変わらないのに。それで衝突してしまう人たちを見るのは胸が痛みます。

夜の小学校に屹立しているデイゴの巨木を想像するのはとても心地良かったです。何重にも生い茂る枝と葉、丸々と太った幹、きらめく星々、校庭を渡る風の匂い。きっと見たことがない人でも懐かしいと感じる場所なのでしょう。ずっと前から子供達を見守ってきた母のような存在。まさに島の秘宝・集落の宝ですね。

幸の天真爛漫な性格は南の島にぴったりでした。そこにいるだけで周囲の人たちを笑顔にしてしまう、そんな魅力の持ち主。おてんば娘で危なっかしい、けれどブレることのない真っ直ぐな気持ちを持っている。読んでいて好きにならないわけがないです。それに対する明青の応援したくなるような性格。頼りない上に不甲斐ない。あーもうっ!ってなるような行動の連発。けれど誰よりも人を大切にする心を持ち合わせている。傷つくことも傷つけることもしたくない、だからこそ踏み込んでほしくないし踏み込まない。だからこそ二人は気持ち以上のもので惹かれ合っていた、そのように感じました。

そして私の思う本書の醍醐味。後半にかけての怒涛のような展開です。これには胸をひやりとさせたり、明青の不甲斐なさに落胆したり、運命とも言える二人の関係に涙したりと、とにかく気持ちを揺さぶられました。島の匂いや風景を想像し、優しい気持ちで読んでいたのにいい意味で裏切られ、ページを進める手が止まらなくなりましたね。これこそラブストーリーだと、一夏の奇跡だと強く感じました。カフーが訪れたのかどうか、それはどうやら私の中にあるようです。それに加え登場人物がとても人間味に溢れているということ。好きな人を前に嫉妬したり、自分の欲のために人を上手く操ったり、裏切ったりと。しかしそれもこれも根底にあるのは誰かのため島のためということ。そんな思いの存在に気づけたからこそ誰も憎むことができませんでした。

最後に

五感すべてを駆使して楽しめる物語。温かくて優しい、けれどちょっぴり切ない物語をあなたもどうですか?きっと夏の季節に読み返したくなる、大切な人にプレゼントしたくなるような一冊です。小さな幸せ、それから名前を呼ぶこと。些細なことでも満たされる気持ちがあるのかもしれません。今を大事にしようと思える。そんな一冊を大切な人とともにどうぞ。




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