【感想】辻村深月「かがみの孤城」理解者の存在が孤独な世界に指す光となる




本書によって救われる方もいるはず。

こんばんは。朝木です。辻村深月先生の

「かがみの孤城」

読了いたしました。

伝えたいことがたくさんあるので、勢いで書きます。

あらすじ

あなたを、助けたい。学校での居場所をなくし、閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。そこにはちょうどこころと似た境遇の7人が集められていた。なぜこの7人が、なぜこの場所に。すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。生きづらさを感じているすべての人に贈る物語。一気読み必至の著者最高傑作。

Amazonより抜粋

感想

内容のネタバレについては一切しないでおきます。それは、これから読む方々には真っ白な状態で本書に向かい合ってほしいどっぷりと本書の世界に漬かってほしいそんな思いがあるからです。

人間である以上誰もが生涯において一度は目を通すべきバイブルだと。その理由の一つに「いじめに似た何か」をテーマに挙げている部分があるからです。本書はこの問題に対し変に飾らず、ストレートに表現しています。時には辛辣に場面や状況を表現している部分もあるが、それがありのままなのです。私自身本書を読んでいて吐き気を覚えた場面もありました。

しかしそれを一方的な視点から述べるのではなく、様々な立場からの考えや思いを描くことによって、構図が理解しやすいように表現されていると感じました。張り巡らされた伏線の数々にも圧倒され、後半からの怒涛なような展開には涙が止まりませんでした。そこには感動はもちろん、辛い世界の根底に優しさがあったから。

「人生の教科書」

として一度は目を通してほしい。そんな作品です。よってこの記事では本書の扱うテーマについて私の考えを述べておきます。

 考え

冒頭で「いじめに似た何か」という風に表現したのは、被害者側の気持ちをくみ取った結果であり、自分がいじめられていると認めることがどれだけ悔しく惨めであるか。それは被害者本人にしかわからないでしょう。「頑張ろうね」そう声をかけてくれていることは、応援する側からしても「ちゃんと見ている」「心配している」という表現になるかもしれません。しかし当の本人はすでに頑張っているのです。そして受け取る側からすれば、この言葉に期待が込められていることは明白。それがかえって重荷になったり苦痛へと繋がったりするのです。

現在の義務教育の場では「いじめ」に対して敏感になり過ぎ、余計に個性を殺しているようにも感じます。その上教育を行う立場であるはずの人間が保守的になります。結果クラス内・学校内での問題に目をつむることになり、問題解消に手を伸ばしても表面上だけで内面的な部分は一切解消されません。一時的な解決にしかなっていないわけです。周囲と少し違うだけで異端児扱いされ淘汰されることになる。「正直なことを言えない絶望的な場所」この表現はまさに正鵠を射ています。空気を読みすぎるのでしょう。そしてそれは徐々に伝播していき、数の暴力となりクラス内・学校内での居場所を失うこととなる。だったら標的にされるのに何か理由があるのでは?本人に落ち度があるのでは?実際ふたを空けてみればそうでもないのです。自分より何かに優れている。たったそれだけで標的にされるのですから。自分を持ち上げるために努力をする人間が果たしてどれくらいいるのでしょうか。他人を蹴落とすことで自分を優位に立たせる。こういった構図を目にすることが多いです。簡単な話なのです、蹴落とせばいいだけなのですから。

この問題は被害を受けた本人が周囲の人間に伝えることが本当に難しい。本人は言葉にして吐き出したくても、周囲からの見られ方がより悪い方向に変わってしまう。自分がいじめられているという状況を認めてしまう。そういったことの恐怖が本人の口から嘘を吐き出させてしまうのでしょう。そしてこの嘘が原因で一生を変えてしまうことがこの時には理解できないのです。しかし、誰かに「辛かったね」「頑張ったね」「もういいんだよ」と認めてもらえれば、褒めてもらえれば、きっと目に映る世界は色を取り戻すのでしょう。たった一人の理解者がいるだけで世界は変わるのです。

「あなたを、守りたい」と言ってくれる

自分のことのように考えてくれる理解者が必要なのです。

最後に

もう一度言っておきます

本書によって救われる方もいるはず。

一人でも多くに読んでほしい。いいえ。

読まなければならない作品。

なのではないでしょうか。このような作品に出会えて本当に幸せです。多くの方が本書を読んで、世界が優しさに満ち溢れることを望みます。




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