【感想】服部まゆみ「この闇と光」独特な世界観、伏線の数々、予想のはるか上をいく結末・・・そして耽美主義のロマンがここに。




こんばんは。朝木です。今回は服部まゆみ先生の

「この闇と光」

読了いたしました。

あらすじ

森の奥に囚われた盲目の王女・レイアは、父王の愛と美しいドレスや花、物語に囲まれて育てられた……はずだった。ある日そのすべてが奪われ、混乱の中で明らかになったのは恐るべき事実で――。今まで信じていた世界そのものが、すべての虚構だったのか?随所に張りめぐらされた緻密な伏線と、予測不可能な本当の真相。幻想と現実が混ざり合い、迎えた衝撃の結末とは!?至上の美を誇るゴシックミステリ!

感想

このての物語についての感想を述べることは、相当な困難を極める。何しろ1つでもネタバレを犯してしまえば、たちまち読者の愉悦の1つを奪ってしまうからである。とは言え人に勧めるにはやはり、感じたことは率直に述べるしかない。ネタバレは避けつつ紹介していきますので、非常に抽象的になってしまうかもしれませんが悪しからず。最初に述べておきますが、本当に度肝を抜かれた一作です。

闇の世界

盲目の主人公レイアを取り巻く環境を、読者の肌で感じながら読み進める中で、闇にいる感覚が私の中にも流れていた気がします。

本当に光に満ちている世界が美しく、闇の世界は暗いものなのでしょうか。本書を通した後だと自身の感覚が180度逆転してしまいました。闇の中に指す光こそ耽美なものなのだと、レイアを通して強く感じることが出来ました。

中盤からの大どんでん返しの展開には、非常に度肝を抜かれました。物語の世界観が180度も変わり、尚且つそれでいて話の辻褄が合うなど、驚嘆を禁じ得ない。一度で二つの作品を楽しめるとも言えるだろう。

そして何より声を出して驚くシーンが非常に多かったということ。電車の中で読む方が居るならそこは本当に注意してほしい。羞恥に悶えることになるだろう。特に197Pでは驚きと同時に、いやいや、それはあり得ないだろう。そうだとしたら少し前のあのシーンはどう説明するの?なんて作者の意図にまんまとはめられたことを思い出します。

知りたいと思う美学

本書の物語は私自身の心理にも近しいものを感じる部分がありました。それが「読みきれないほどの本があるのならば、もっと、もっと本を読みたい」この言葉だ。知らない人々知らない事物、知らない思い、知らない世界、それらを知ることが見聞を広め、世界に羽ばたくための羽となるのだと私は考えます。なぜ小説がそこまで私を魅了して止まないのか、その答えは本書の内容にあったようにも思えます。

文章に関する美とは一体なんなのだろうか。美しい言葉を用い登場人物の心やその場の風景を読者の脳内に鮮明かつ色鮮やかにイメージさせることだと私は考えます。本書では特にレイアの感じていた闇、そして闇の中にいたからこそ想像することが可能となった光の存在、それらの描写は非常に美しく、それと同時に儚く、だからこそ強烈に愛おしいものでした。

最後に

事の顛末で言えば現実と乖離しており、少し納得できない部分もありましたが、この大どんでん返しは清々しいものでした。ページを捲る手が止まらなくなるのは最早必然。読後のモヤモヤ感は否めませんが、文章の美しさはまさに至極の一品。耽美主義の作品でも屈指の一品です。ただラストは作者自身で描いて欲しかったですね・・・。結末は読者の想像に任せる・・・本書に関しては違和感が拭えませんでした。

とは言え一気読み不可避の大どんでん返しゴシックミステリ。独特の世界観や作風はまさに中毒成分たっぷりです。予想のはるか上をいく伏線の数々、あなたに本書の結末を予測することは可能か。是非一読願いたい一冊です。




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