【感想】冲方丁「マルドゥック・スクランブル 燃焼」カジノでの熱戦から目が離せない!




こんばんは。朝木です。今回は冲方丁先生の

「マルドゥック・スクランブル 燃焼」

読了いたしました。

あらすじ

少女は戦うことを選択した――人工皮膚をまとい、高度な電子干渉能力を得て再生したバロットにとって、ボイルドが放った5人の襲撃者も敵ではなかった。ウフコックが変身した銃を手に、驚異的な空間認識力正確無比な射撃で、次々に相手を仕留めていくバロット。しかしその表情には強大な力への陶酔があった。やがて濫用されたウフコックが彼女の手から乖離した刹那、ボイルドの圧倒的な銃撃が眼前に迫る。緊迫の第2巻。

裏表紙より抜粋

感想

本書の面白さは圧倒的だ。熱中しすぎて息が詰まるほどにのめり込んだことを覚えています。前作とは異なり頭脳を駆使した心理戦、予測や駆け引き、何よりバロットの心情の変化が自身のことのように感じることが出来ました。手に汗握る展開に何度緊張し、興奮したことか・・・それでは早速内容へ。

フェイスマンとボイルド

『人間とは何か?それは価値という観念を理解する存在だ』フェイスマンとボイルド、2人の間でこのような会話がありました。人間の根底にあるものも動物と同じで、衝動的になれば殺人さえ起こしてしまう。命を奪うこと、それは容易なことだった。しかし人間は命に対して価値という観念を見出した。そこが動物との決定的な相違点であり、本能の支配に拮抗できた部分なのだ。その本能の支配に抗えたからこそ、人間は地球の全領土で繁栄できたのかもしれない。

ウフコックとの再会

ウフコックが再び現れたシーン。なんとも彼らしい登場の仕方でした。その時のバロットの感情を思うと、こちらまで涙ぐんでしまいます。自身の暴走で満身創痍になり、命まで危険に陥った愛すべき大切な相棒。そんな彼にかける言葉、頭ではわかっていても中々喉を通らないものです。それでもウフコックは彼女が何を口にしようとしているのか、物理的な干渉ではなく心で感じ取っていたのでしょう。そんなウフコックとバロットが久方ぶりに交わした言葉。そしてバロットの額を伝う一筋の雫。この涙こそが、彼女の本当の気持ちを表していたのでしょうね。

カジノでの熱戦

そして中盤からは、前作とは打って変わり華やかな舞台での頭脳・心理戦。特にルーレットとブラックジャックのシーンはページを捲る手がとどまるところを知らなかった。ここでの頭脳・心理戦は非常に胸を躍らせ、バロットとウフコックの最強コンビが再び牙を剥く姿に、こちらまで圧倒されました。この戦いが本当に痺れる。臨場感を味わえる上に、登場人物の焦りや怒り、緊張感といった感情がストレートに伝わってくるのだ。最高にハイな状態で緊張感も最高潮である彼女たちを、こうも扇情的に表現出来るのは著者である冲方丁先生の技量に他ならない。読書中は終始鳥肌が治らなかった。

特にバロットとベル・ウィング。ルーレットの最中に、敵であるベル・ウィングの生き方に何かを見出したバロット。憧憬に近い思いを胸に、互いに持てる能力全てを駆使して戦った2人に感謝の気持ちを伝えたい。ここまで熱く胸を焦がす戦いは滅多に目にすることが出来ないだろう。文字通り人生を賭した全力の戦いに、私も勇気をもらいました。

ただ一つ注意するのであれば、予め知識としてここで登場するゲームのルールを知っておく必要があるということです。調べながら読んでいっても充分に楽しめるが、実際にゲームを覚えて経験して読んだ方がより深く感情移入出来るのではないかと感じました。

最後に

次巻に引き継がれたブラックジャック。そこからバロットは何を学び生きる理由とするのか。そして本来誰しもが持っている人生の幸せを彼女は取り戻すことができるのか。もがき苦しんだ先に待っているものが何なのか、非常に楽しみな部分である。




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