【感想】朝井リョウ「何者」私たちは本当に就活を理解していたのだろうか




こんばんは。朝木です。朝井リョウ先生の

「何者」

読了いたしました。

あらすじ

就職活動を目前に控えた拓人は、同居人・光太郎の引退ライブに足を運んだ。光太郎と別れた瑞月も知っていたから。瑞月の留学仲間・理香が拓人たちと同じアパートに住んでいるとわかり、理香と同棲中の隆良を交えた5人は就活対策として集まるようになる。だが、SNSや面接で発する言葉の奥に見え隠れする、本音や自意識が、彼らの関係を次第に変えて・・・

感想

結論から言いますと、私的には物語としては中途半端な感じがしました。ハッピーエンドでもなくバッドエンドでもない。であれば就活や人間の暗部を浮き彫りにした上で、とことん現実を突きつけるのも悪くなかったのではないだろうか。もう少し辛辣に表現しても良かったかもしれない。

しかし、内容的には非常に面白かったです。特に人間に暗部と言うか、発する言葉の裏のその奥で醜くとぐろまいた本音が見え隠れしている部分には衝撃を隠せなかった。(好きな歌のフレーズをお借りしました)特に目立った変化のないシーンが続く中で飽き飽きしていた部分もありました。しかし、後半に向けるにつれ言葉の裏が顕著に表れるようになり、それが招く怒涛のような展開に肝を冷やしました。

自分がどういった人間なのか、これは生涯をかけて追及すべきなのではないでしょうか。たった二十一、二年前後の人生で自分のすべては理解できないでしょう。理解していたとしてもそれはこれから自らの人間を形成していく中でのほんの一部分であり片鱗に過ぎない。そしてこれから先、様々な影響を受け経験を積んでいく中で良い方向にも悪い方向にも変化していくのでしょう。

B4の紙切れに自分の人生を表現するのですが、描かれた結果以上に内容に興味を持ってもらえるかどうかという部分にかかってくるのです。ここに私を100%表現し、私という人間に興味を持ってもらわなければならない。一種の創作物や作品を完成させるようなものなのでしょうか。とは言いつつも就活生はみんな同じ行動をするのですが。その分余計に内容が大切になるのでしょうね。

「スーツの中身までみんな同じわけではないのだ。」このフレーズが私の中で印象深く残っている。「就活をしない人間」「就活をする人間」とどこか感性という部分で優位立っているつもりでいる。本書ではこう述べられていた。就活をしない人間は自ら立派な決断を下したと思っているだろう。社会の見えない流れに逆らい自分らしく生きること。それは素晴らしいことだ。しかし、だからと言って就活をする人間を否定するのはおかしな話だ。就活をする人間も同じように生き方に対して決断を下しているわけであり、同じように尊重されるべきなのだ。

本書の登場人物には特に惹かれる人物は存在しなかった。自分の弱い部分を否定し、あたかもそれが正しい自分が正しいと虚栄心を張り、他者を否定する。果たしてそこに何が生まれるのだろうか。何度も言うように就活生の実態と言うよりも人間の暗部を描いていたと言ったほうが的を射ているかもしれない。

本書は読む時期によって結構メンタル面に響きます。就活前の予習として読んでおきたいですね。もちろんモチベーションは上がりませんが。しかし本書の内容含め就活の裏を知った上で、本音で企業に向き合ってみたいものです。そのような企業に巡り合うこと、本音で語り合える理想を理想で終わらせないような人たちと共に。




コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です