【感想】鴨志田一「青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない」家族の絆とは・・・彼の出した答えは彼らしいものだった・・・




こんばんは。朝木です。今回は鴨志田一先生の

「青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない」

読了いたしました。

あらすじ

三月に入って、三学期も残り1ヵ月。いよいよ迎えた麻衣の卒業式当日。「おじさん、だぁれ」七里ヶ浜の海岸で麻衣を待っていた咲太の目の前に、子供時代の麻衣にそっくりな小学生が現れて!?一方、花楓の一件以来、別々に暮らしていた咲太の父親から電話が……。「母さんのことなんだが、花楓に会いたいと言っててな」それは、花楓に起きた出来事を受け止めきれず、長いこと入院していた母親から届いた「会いたい」という願い……。家族の絆、新たなる思春期症候群の前触れ――急展開をみせるシリーズ第9弾!

表紙より抜粋

感想

ついに咲太と花楓が母親との再会を果たします。その再会は咲太や花楓、母親にとってどのような変化をもたらすのか。彼らの心境に注目しながら読み進めていきました。

読後最も強く感じたこと、それは咲太の抱えていた矛盾とも言える、相反する感情を併せ持つことの苦しさです。父と母と花楓と以前のように、家族として一家団欒の生活が戻ってきて喜ばしいはずなのに・・・それを素直に喜べない咲太自身の感じていた不甲斐なさ、私も自分のことのように胸を痛めました。

花楓との二人の生活が二年という歳月をかけて漸く落ち着いてきたところで、咲太の周囲の環境も友人がいて恋人がいて、平和そのものと呼べる生活環境でした。そこへ本来なら喜ばしいはずである母の回復、そして母の花楓に会いたいという素直な気持ちを前にして、現在の生活が脅かされる不安というのは非常に大きかったはずです。後ろめたさを感じてしまうのも、不思議なことではありません。人は現状を急激に変化させ、それと同時に気持ちの整理が出来るほど器用ではありませんからね。その気持ちが今回の思春期症候群として咲太の前に現れたのでしょう。心の状態が不安定だったことは自明の理。

そのような状況から咲太を救い出すのは、言うまでもなく彼女しかあり得ないでしょう。本当に心の底から二人の関係を羨ましく思います。どうして麻衣だけには咲太を視認することができたのか、私の中では謎のとして残っていますが、奇跡と言われても納得してしまうでしょう。二人ならそのような奇跡くらい平気で起こせそうですからね。

「家族の絆」本書を端的に紹介するなら間違いなくこのフレーズでしょう。理央やのどかに麻衣、そして咲太。彼らの家庭環境は一口に普通とは言えませんよね。少し周囲とは違いその結果として、歪な関係になってしまったとも言えます。その分彼らは生きるために強くなったのでしょう。現状を受け入れるためにそうせざるを得なかったのかもしれませんね。

最後に

次巻から話は飛んで大学編のスタートのようです。心身ともに大人になった彼らを早く見たいという思いもありますが、彼らにとって非常に大切な高校三年の期間をもう少し深く感じたいというのも正直な気持ちです。彼らの過ごす一年というのは、刺激的でいつも多くのことを学ばせてくれますからね。このまま大学編に突入してしまうのであれば、回想でもいいので作中で描いてくれることを強く願うばかりです。

何はともあれ様々な経験を経て出した咲太の結論は、彼だからこその答えだったと思います。本書の魅力は“積み重ね”の部分にあると思います。彼らの経験をあなたも自分の財産にしてみませんか?




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