【感想】森見登美彦「太陽の塔」清々しいほどの阿呆物語がここに!




こんにちは。朝木です。今回は森見登美彦先生の

「太陽の塔」

読了いたしました。

あらすじ

私の大学生活には華がない。特に女性とは絶望的に縁がない。三回生の時、水尾さんという恋人ができた。毎日が愉快だった。しかし水尾さんはあろうことか、この私を振ったのであった! クリスマスの嵐が吹き荒れる京の都、巨大な妄想力の他に何も持たぬ男が無闇に疾走する。失恋を経験したすべての男たちとこれから失恋する予定の人に捧ぐ、日本ファンタジーノベル大賞受賞作。

裏表紙より抜粋

感想

何から綴ったものかと悩んでいるのだが、今回は本書を手に取った経緯から紹介していこう。私が著者に興味を抱いたのはアニメ「有頂天家族」を視聴し、某作品の世界観や著者の表現、そして何より独特な言葉の使い方に魅了されたことだ。端的にその世界観を表現するのであれば「滑稽かつ非常に癖の強い作品」ということだ。無論、良い意味でとらえて頂きたい。そして存分に魅了された私は森見さんの世界観に浸りたいということで、デビュー作である本書「太陽の塔」を手に取ったわけである。

内容は至ってナンセンス。所謂モテない男子学生とその友人たちが織りなす、阿呆な学生生活を淡々と描くもの。特にクリスマスを謳歌する若者に対する法界悋気が凄まじい。そしてその理由が結果的にただの八つ当たりなわけで、本当に救いようのない阿呆たちなのだ。挙句の果てに自分は間違っていない、世間が、否、世界が間違っているのだと言いそうな勢いで自らを正当化しているのだ。しかしその言い分に恥じない行動を起こす部分は、私も少なからず見習うべきなのではないかと考えてしまった。かくいう私も4年間の大学生活を経て、春など一切訪れなかった身なのだが・・・そこは触れないでおこう。

そして何より笑った部分が元恋人である水尾さんを、研究と称しストーカー行為を繰り返していた部分だ。これがまた行為も動機も気持ち悪い上に、自分に対する言い訳が絶妙過ぎてまさに気持ち悪いのシナジー効果。気持ち悪いオブ気持ち悪いの称号を授けるに値する程だ。と罵詈雑言を浴びせたわけなのだが、どうも私はこの主人公を愛してやまないのだ。もちろんキャラクター的な意味ですので悪しからず。どこまでも自分を特別だと思い込み徹底してその様に振舞う彼は、シンプルに格好いいのだ。まさに「馬鹿と天才は紙一重」彼らのような学生生活を、私は羨望していたのかもしれない。

最後に

普段の生活で目にするようなことがないであろう言葉が頻繁に登場します。しかしそれも読書を嗜む上での醍醐味の一つ。思いもよらない副産物で日常生活が楽しくなるなど、まさに僥倖である。要するに知らない言葉を知ることでまた一つ賢くなれる、知識が増えるという部分で我々は得をしているのです。調べながら読むのは手間がかかりますが、あなたにとっての力になることは間違いありません。

しつこいようですが本書は思わず吹き出してしまうほど滑稽であり、その上我々を存分に楽しませてくれる。言うなれば読めばあなたもきっと毒されるはず。あなたの知る人間像が異色で彩られるかもしれません。もちろん良い意味でですよ。




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