【感想】森見登美彦「四畳半神話体系」運命はどのような過程を辿ろうと一つの答えに帰結する・・・




こんばんは。朝木です。今回は森見登美彦先生の

「四畳半神話大系」

読了いたしました。

あらすじ

私は冴えない大学3回生。バラ色のキャンパスライフを想像していたのに、現実はほど遠い。悪友の小津には振り回され、謎の自由人樋口師匠には無理な要求をされ、孤高の乙女・明石さんとはなかなかお近づきになれない。いっそのこと、ぴかぴかの1回生に戻って大学生活をやり直したい!さ迷い込んだ4つの並行世界で繰り広げられる、滅法おかしくて、ちょっぴりほろ苦い青春ストーリー。

裏表紙より抜粋

感想

非常に濃厚な登場人物が癖になる一冊。知的かつ阿呆という魅力たっぷりの主人公。他人の不幸で三度も飯が食えるという小津。そんな二人が中心となり繰り広げられる奇々怪界な京都の物語は、間違いなく読者全てを魅了するであろう。そして気がつけば京都の地へ降り立ち「阿呆ここに極まる」と口にすること間違いなし。

四畳半恋ノ邪魔者

桃太郎ベースのマサキ帝国の映画、これ以上に愉快なエンタメがあるだろうか。映画サークル「みそぎ」の代表である城ヶ崎先輩との仁義なき戦い。否、主人公が一方的にそう思っているに過ぎないのだろうが、嫌がらせとも言える戦い方が滑稽であるのにどこか羨ましくも思ってしまうのは、人としての性であると思いたい。こんな学生生活もまた一興であると、恐らく新入生の頃にこの物語に出会っていたならば、変に影響されていたに違いない。文字通りイタイ学生であることに相違なかっただろう。

四畳半自虐的代理代理戦争

一体何のために阿呆な行動を繰り返すのか、それは樋口師匠の代理戦争であり修行であると本書では述べられていた。樋口師匠と城ヶ崎先輩の過去の因縁とは一体何なのだろうか。非常に気にしつつ読み進めていますが、心の中で絶対大したことない珍事件だろう。なんて思っています。何たって阿呆な人達の物語ですからね。ですがその阿呆の血に心踊らされるものがある。阿呆の血に私の血が沸騰する。私の無い物ねだりということにしておきましょう。

四畳半の甘い生活

本章の最大限の魅力といえば、ジョニーとの葛藤である。男なら誰しもが体験するであろう、美女を前にした時のジョニーの暴走。心を嘘で塗りつぶそうが欲求は忠実であり正直なのである。主導権を握るのは下半身か、はたまた理性なのか、この葛藤が他人事とは思えず非常に楽しみながら読み進めることができました。

八十日間四畳半一周

並行世界に迷い込んだ主人公。彼の生活スタイルは愉快も愉快、お腹を痛めるほど笑ったことを覚えています。1000円札の件は何度読んでも羨望してしまうばかり、ですが私自身永遠と続く四畳半に迷い込んでしまえば、恐らく彼のようにいかなる状況下であっても決して動じず、冷静に思考することは難しかったでしょう。彼が本当に冷静であったかどうかは、甚だ疑問ではありますが。

最後に

私含め皆様も「あの時ああしていれば・・・」「あの頃に戻れば・・・」なんて妄想に耽ることが多々あるでしょう。まさに後悔の念に駆られる。しかしそのような時間は唾棄すべき時間であり無意味に他ならないのだ。どのような過程を辿ろうと悪友は悪友であるし、成就する恋は成就する。運命というのは非常に痛快である。

本書は森見先生の構成力や文章力を遺憾なく発揮した作品とも言えます。独特な癖のある文章がハマる人にはとにかくハマる。個性豊かな登場人物たち、特に腰の据わった阿呆というのは非常に愉快である。「常識なんて糞くらえ」と公言してしまいそうな勢いのある一冊。悶々とした日々に一味違う楽しみをどうぞ。




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